2021/8/28     8月会山行 オオナゼノ沢

メンバー:(L)MM、TH、TT、FY、OSe、OS、KM、

<コースタイム>
   6:00千の沢小屋駐車場出発--8:00デトノアイソメ--8:30オオナゼノ沢取付き--
   12:15大滝登攀を終了し出発--15:30稜線--18:40大日岳--新開道下山--
   22:15 2合目駐車場着(ON、MT迎え)


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<はじめに>
8月28日の会山行について、下山時刻が大幅に遅れたことについて個々に振り返り、
今後に向けての反省会をした。


【記:OS   「手強し、水無川 大ナゼの沢の大滝」
今年初の沢登り。十二平より奥には行ったことが無く、水無川からオカメノゾキの稜線に上がってみたかった。
十二平の先がしばらく林道かと思ったら、山道になっていて驚いた。あまりいい予報ではなかったが、
上空には青空が広がり上々の天気となった。今日のスムーズで快適な沢登りを予感させた。
さほど難しい滝も無く快調に進んでいくと、突然、行く手を遮るように大滝が現れた。
ざっと100~150mはあろうかという長い滝が3段ほどになっている。聞くと3段目が急になって厳しくなるらしい。
なるほど2段目までは、岩のヌルヌルの滑りに気を付けながら、危なげなく登ることが出来た。

そしていよいよ3段目、見るからに傾斜が急になって、滑りそうなこげ茶色の岩と右側には嫌らしそうな草付きで、
なかなか厳しそうな様相となる。めきめきと実力を伸ばしているFYさんが自信満々にOSeさんのザイル確保で
先頭を登っていった。なかなかしっかりしたビレーポイントがなさそうで難航しながらも着実にザイルを伸ばす。
岩場の直登から右方向の草付に入り、その先の低木を目指し、そこからは大きく左に舵を切り低木沿いにトラバース。
FYさんとは声が聞こえづらく、ビレー解除がわかりにくかった。MMさんが登りKMさんが続くが、
途中で進退窮まり、OSeさんとTTさんがサポートに行く。草付の急斜面となっている所が登れないようである。
OSeさんのアドバイスにより、何とかKMさんが這い上がった。

自分の番となり、ベーシック(アッセンダー)の取付けが間違いないか、念入りに確認して登りにかかる。
草付手前までは、何とか自力で登れたが、草付に差し掛かり、傾斜が増した上に、手掛かりがなく、
足元のステップもおぼつかない。何とか自力で這い上がろうとした瞬間、足元が滑って2m程滑落。
ベーシックのおかげで、ぴたりと止まってひと安心。果たして自分に、この草付を登れるのだろうか。
いや無理じゃないかなあ、と思ったら急に自信喪失して怖くなってきた。とは言えここから戻るわけにもいかないし。
とにかく、もう一度チャレンジしてみよう。しかし、同じ登り方では無理なので、ザイルにつかまろうと思って
右側を見たら、少し岩場がありそちらに回り込んだら、ホールドがあるし登れるではないか。
危機一髪、難所をクリアすることが出来た。

そして、低木につかまりながら左にトラバースすると、低木の無くなった草付の所でザイルが直上している。
ここがまた嫌らしい草付で、しかも勾配が強い。もうなりふり構わず、ザイルにつかまり力任せに登ろうと思ったら、
土を蹴り込んだ先行者のステップがあり、何とか3~4m位の難所をクリアすることが出来た。恐ろしかった。
よくまあ、こんなところをFYさんは、先頭で登ってきたなあと驚いた。恐らく、大滝の基部に到着してから、
全員が登り終わるまでに、4時間近くかかったのではないだろうか。
何はともあれ、皆が待つ安全地帯まで進んで、しばらく安堵しながら休憩した。
「オラ、もう、こんなとこ、来とうはない!」。

この難所を最後尾からビレー器具を回収しながら登ってくるTHさんも大変だなあと思ったが、
さすがは山菜取りの名人、何事も無かったかのように、平然としながら登ってきた。事故も無かったが、
予定よりも5時間近くの下山遅れとなり、色々と考えさせられる沢登りであった。

日常生活と遥かにかけ離れた、超非日常的世界でのドラマチックな体験であった。帰宅後から2~3日、身体中痛くて
特に二の腕と指先が痛くて、風呂で頭や身体を力強く洗うことが出来なかった。
迎えに来ていただいたONさん・MTさん、下山遅れの諸々の連絡を取っていただいたANさん、
そして同行の皆さん、大変ありがとうございました。


【記:MM
デトノアイソメの上流には滝ノ沢・北沢・真沢と越後を代表する沢があり、
今回の大ナゼ沢と東・西の不動沢がこのデトノアイソメで合流する。
その昔マチガ沢や月山で8月の夏スキーを楽しんだが、一番近い割引沢(巻機山)が滑れたので、
「夏スキー」の記載があったデトノアイソメに友人とスキーを担いで行ってみたが、
残雪は在ったものの雪面は折れた木と石がびっしり鎮座している。しかもいたる所にクラックがあり
とても滑れる状態でなく登山道をまた引き返した記憶がある。近年は残雪の小さなカケラしかない。

大滝上部で登攀を開始するまでは順調だった。
標高1000位だと思うがカナヤマツルネの尾根はすぐそこに見える。12:00を過ぎてようやく全員が尾根筋に出たが、
今にも雨が降り出しそうで八峰と荒山の稜線はガスで見えない。
デトノアイソメは稜線から川底まで標高差1000m前後で一帯の赤茶けたスラブは広く、短時間の降水でも本流からの
水量も加わり水無川は一気に増水する。過去に増水で死亡事故も発生している。
最近のゲリラ豪雨が頭をよぎり、もし渡渉できなければビバークする事になるがそんな場所もない。
さらに連絡もつけられない。尾根でツエルトを被って夜をあかしても増水していたら荒山の稜線まで登り返すか、
水が引くまで待つしかない。

この地点から下山すれば増水前に渡渉はできた可能性はあった。しかし笹花沢までは登山道がなく1時間は沢を下る。
ガスのかかった稜線から予想すると間もなく雨になると判断した。
時間はかかっても安全第一としてエスケープルートの「大倉口下山」皆に告げ、ONさんにSメール送信。
稜線までは藪漕ぎ15:15分頃「登山道に出ました」とTTさんの嬉しい声が聞こえた。

以外と時間はかったがようやく荒山の稜線に出たが周りはガス。雷は来なかったがここまでに体調不良者や
ケガをした人もいない。間もなく雨が降り暗くなるので、雨具とヘッドランプの用意をしてもらうとOSeさんが
「あッ。ヘッドランプが無い」Tさんのヘッドランプが超明るいのでその前方をゆっくりなら歩けそうだ。
だめなら檜小屋か女人堂に避難とも考えた。登山道を歩き始めてまもなく雨具を装着、ヘッドランプ点灯となる。

五竜岳付近でANさんから「山口まで迎えに行こうか」とヘルプ連絡があり「新街道」下山に決めた。
ヘッドランプで八峰を越えるのは危険だろうと考えていたで、取りあえず滑落の危険は少し減った。
先頭のヘッドランプT&Oチームも順調の様だが、今度はMMがヘッドランプ電池を交換した際、何故か点灯しない。
取りあえずTHさんの背後霊となり歩き始めたが、やはり転倒したり穴に落ちたりする。
休憩した際に再点検で点灯したので安堵したが、無灯火・ノーヘルは罰金もの。
後日、ペンライトを持っていたの気付いた。

先を歩くTTとOSさんのヘッドランプがかなり暗くなっているが本人は気が付かない? 
「いっぱい、いっぱい」なのだろうか?一息入れて電池交換を進めるが「予備電池は持っていない・・・」

電池を提供してクリアー。

誰もが筋力も体力の限界を超えているはすである。あと少しという気のゆるみは躓きやスリップ・転倒によるケガも
考えられる。「少し休憩しましょう」の声をかけると、待ち望んでいた様に腰を下ろす。
大岳でゴミだと思って拾った袋にミルク○○と書いてあり賞味期限は2022/・・・オッ まだいける。
前から八海山には何か居ると感じていたが神も居た。この飴は皆の救世主となった様だ。

22:00下山口にライトの明かりが見えた~ (*^-^*)
夜遅く迎えに来て回送して頂いたONさんMTさん。2人への連絡と家族えの連絡をして頂いたANさん
ありがとうございました。仲間に感謝です。
16時間もの山行で幸い無事に下山できましたが、会山行における課題は次の山行の糧としていきたい。