2013/5/3-4 「会山行」白馬岳主稜

  メンバー:(CL)宮・(SL)会長・のり・IM





 3日
 天候:曇/晴 猿倉の駐車場から冬山装備を詰めた重量ザックを担ぎ出発。猿倉荘からは腐った雪上を最短コースで登って行くが超キツイ。BC予定地まで1時間30分位だが、天気が良すぎて暑い。BC地帯にはすでに数張りのテントがあり、我チ-ムもジャンボを設営。
明日の健闘を誓いカンパイ。夜は寒空に輝く星座にカンパイ。

 4日 辺りはまだ暗い。クラストした雪面を歩く小気味良い音が幾度も聞こえる。
張り綱を固定したピッケルがなかなか抜けない。テントをたたみ重石がわりに大盛の雪を乗せ、気温が上がらないうちに出来るだけ高度を稼いでおきたいので、5:00頃に出発したが、後続の姿はなく最後尾らしい。

春山景色を眺めながら、ひたすら高度を稼ぐ。やせ尾根を越えた一角に唯一テント場がある。以前もこの場所にテントがあった。このテント場まで重い荷を担ぎ上げるリスクを負ってでも、満天の星空にはかなわないのだろう。

高度感のあるナイフリッジは、ケツの穴をギュッと絞め、アイゼンとピッケルの2重奏3拍リズム?でクリヤーすると、メインの壁はもうすぐそこだ。
時間の余裕はあるが、やはり壁の前ではルートの空き待ち。天候はやや曇り気味、視界も悪くはないが、やはり2500mを越えると気温は低い。

1ピッチ目はノーザイルでも登れるがザイルを出し、雪壁にスノーバーとピッケルで支点を作り確保する。2ピッチ目は少し登り、スノーバーを支点して右にトラバースした所で、先行の2人が動かない。もう少しで山頂なので、その脇を抜けようかとも思ったが、彼らが落ちたら我々を巻き込むので待機。

先行者はザイル位置が高すぎてハングぎみの雪壁にしかピッケルを刺せず、頭が壁にぶつかって進めないでいる。すると上からお助け紐が降りてきて「これにつかまれ」と怒鳴っているが、恐怖で固まっているおじさんにはムリムリ。
らちが明かないので後ろから、最後尾の人に足の位置とピッケルの位置を指示して、少し前方に移動してもらい固まったおじさんを先に登らせる。

山頂は相変わらず風が強く、ザイルに付いた雪で確保器の動きが鈍くなり、腕はパンパパン、足元に置いた濡手袋はパリパリせんべい。何とも言えない充実感と仲間との信頼感に浸り気分は最高。今回の主稜も天候に恵まれた山行でした。

今回の山行前に、大雪渓で雪崩により尊い命が失われました。一番下の写真に人が写っていますが、幅80m長さ500m位の雪崩痕のスケールは想像を絶し、改めて自然の驚異を感じました。
この時季は降雪があれば表層雪崩と同じ様な条件がそろい、天候と地形を読んだハイレベルなルートファイテングが求められると思います。

事故当日は、猿倉荘の人が「今日は雪崩が発生しやすいので入山中止」を勧めていたとも聞いております。もしこの情報を聞いていたならば・・・合掌。
 (記)M.M






 連休前半の5月3日、4日は 会山行の白馬主稜でした。3日に出発して猿倉に車を駐車して、白馬尻にテントを設営して、翌日主稜尾根より白馬岳山頂を目指します。参加者は会長、宮さん、のりさんと私の4名です。

猿倉から荷物を担いで白馬尻に向かいます、白馬尻までは1時間ぐらい掛かりました。天気は良く白馬岳もよく見えます。途中、主稜を登った人とすれ違いました。会長はどんな状態か伺っていたようです。

白馬尻に到着すると、雪崩の危険が無い所にテントを設営します、既に私たち以外のパーティーのテントがいくつかありました。大雪渓は巨大な雪崩の痕が見え、捜索活動をしている人達の姿が見えます。連休前半に降った雪が崩れ、巻き込まれた人がでた様です。
テントを設営も終わり夕食の支度を始めます、夕食は豪華でしたが明日もあるので酒も程々にして休みました。

翌日は4時頃起床して5時過ぎぐらいに出発。天候は快晴で今日1日は持ちそうです。出発して直ぐに宮さんが携帯食を忘れたので取りに駆け足でテントに戻って行きました。その後しばらくして追いついてきました。

既に多くのパーティーが主尾根に取り付いていました、中には4時頃出発したパーティーもいたみたいです。
稜線手前までは雪面は硬く快調に登れます。稜線に出ると風が強くなり、クラストした雪面から柔らかい雪へと変わってきます。
ここから斜面が急になってきます。

途中、後ろの会長から「足が蟹股でアイゼンをスパッツに引っ掛けるぞ、足を平行にして歩け」と注意を受ける。

いくつかリッジを抜けますが、ナイフリッジが非常に怖いと聞いていたが思っていたほど怖くなさそうだと思いましたが、後で聞いたら今年のリッジはいつもの年ほど鋭くなく、雪も少なくラッセルも無いので、いままでで一番楽な登りだったと教えてもらいました。

斜度が急なので大変ですが、高度はどんどん稼げます。そして頂上直下の核心部が見えてきました。そこには沢山の人が見え、順番待ちが長くなりそうに思えました。また、しだいに雲が出てきて天候が悪くなってきているのが気になりました。
頂上直下は大勢人がいましたが、案外待ち時間は少なく30分くらいしか待たなかった様に思えます。

トップは宮さんで確保は私で肩がらみで行いました。肩がらみは初めてで、ザイルを肩に掛け脇の下からロープ出さないといけないのに、逆にやって会長に注意される。
宮さんは左から真直ぐ登り雪屁の手前でスノーバーを刺して右に少しトラバースして雪屁を切り欠いた所を抜けました。次は会長、のりさん、最後は私の順で登ります。

頂上に出るとアックス2本でザイルを確保していました。頂上は雲で視界は無く風も強く吹いていました。写真を撮り早々に白馬山荘に向かって下山します。

白馬山荘まで下ると、山の陰に入ったのか風は弱くなり視界も晴れます。ここから大雪渓を下りテントまで戻ります。下る途中雪面の下り方を会長より教わります。すぐにテントに着きそうに思えましたが、この下りが意外と長く感じます。

途中雪崩の現場を間近に見ます。連休初めに降った雪が一挙に崩れ、谷の半分ぐらいの幅の雪崩になっていました。

テントに戻る頃、雪が降ってきました。テントは水を吸って重くなっていますが早々にたたみ引き上げます。

猿倉まで戻り車に荷物を積み、狭いクネクネ道を下ります。会長は昔この道路が雪崩で車が通れなくなり、歩いたと話していました。それでも日帰りしたとの事なので、凄いなと思いました。この後、温泉に入って一休みした後帰宅となりました。

今回、初めて本格的な雪山を登りました。登る前に思っていたより楽に登れましたが、今年は深い新雪もナイフリッジも無く、特別登り易い年で運が良かった様です。
白馬主稜、来年も登りに行こうと思っています。
 (記)I.M




 いい感じで約束された天気予報の中、雪解けの水たまりが点在する駐車場を出発する。IMさんが、若さパワーで装備をザックに詰め込んでくれたが、何ともパッキングがデコボコで笑ってしまう。今日は1時間ほどでテン場につくので気が楽だ。おニューの、ウルトラ軽いトレッキングポールが気分をさらに上げてくれる。

テン場に着くと早速テント設営に細腕参加する。さて、天気祭りだが、明日は主稜で緊張感が有り、あまり個人的には酒は進まず天気の神様に捧げる程度であった。

暖かい夜が明け、快晴?快調に歩き出したが、いつものように斜面の登りは難儀い。しかも暑い。前回来た時は結構ラッセルがあったが、今回は人数が多いのと、降雪がないのとで踏み跡がしっかりついているので歩きやすくて本当にありがたい。そのおかげで景色を見る余裕があった。
この白い世界の一筋に続くシャープな稜線歩きは、見るだけでワクワクする。ここ数年、白馬岳付近に来ることが多かったので、大きな地図を頭に描いて自分の位置に思いを馳せるのは楽しい。

前回3時間待ちで身も心も凍った雪庇越えあたりは、あまり天気も良くなかったが待ち時間は比較的少なく助かった。
今回はほぼ直登コース。高度と斜度に緊張感はあったが、ピッケルとアイゼンの一体感とともに仲間の後ろについて楽しく越えることができた。しかし、あの雪庇崩しを乗っ越した時の気持ちはなんとも言えずいいものだ。あの瞬間だけ何度でも体験したいと思うが、やはり最初の一歩からの行程がなければ味わえない思いなのだろう。

白馬岳山頂らしい強風の中、写真を撮り下山。途中、雪崩の現場脇を通ると大勢の人たちが捜索をしていた。この雪崩の大きさはなんということか・・・絶句した。
自然の前に私は本当に小さい。 今年のGWもいい仲間といい山に入れて幸せだった。感謝!
 (記)のり