2013/10/11-13 北アルプス 黒部下ノ廊下

    メンバー : (CL) 宮・AS・MS・HS

 「高熱隧道」を読んでかれこれ20数年間・・・大切に閉まっていた計画。

 10月11日
深夜の宇奈月温泉駐車場に、1台の車をデポしてから扇沢の駐車場でテント仮眠。
朝方冷え込み、寒かったが足を伸ばせた仮眠は嬉しい。でも20代の彼らとは、これからの行程で追いて行かれそうな予感がする。

 10月12日 晴れ・曇り・雨
朝焼けで始る天気は崩れると思いながら、チョッピリ期待する。
トロリーバスは増便されていたが、それでも混雑が予想された為、早めに行動開始。

トンネル内の単線道路を、今風でいう「エコバス」で黒部ダムへ。行程時間に余裕があるのでダムサイトに出て放水のプチ観光。

再びトンネルに戻り旧日電歩道に向う。初日はOS夫妻と同じルートだったので、ダム下で合流できた。

ルートは想像していたより整備されていたが、景色や歩きが単調化してきた頃に危険が潜んでいるように思う。それと熟年ハイカーが多い為、ペースが遅く一本道は 渋滞する。

十字峡では写真ポイントを通り過ぎてしまい、「つり橋」を渡ってから気がつく。
黒四ダムは知っているが、黒三ダムは知らない人が多いかも。
仙人ダムを渡ると隧道の入り口から硫黄の臭いがして、通路の中もかなり暖かい。隧道の奥はいったい何度くらいあるのだろうか、興味深いものだ。

外に出ると風景にそぐわない近代的宿舎がある。無論かけ流しの温泉付きであろう。

当時のダム建設は軍事的要因も絡んだ何でもあり工事で、特に志合谷から阿曽原、さらに奥となるここ仙人谷までの隧道工事は自然の偉大な力に対し、人が作業する 環境には程遠い環境だったのだろうと推察する。

阿曽原温泉手前の登りはキツイぜ。雨で体が冷えたので温泉が楽しみだ。
まずはテントを張り、即、酒だ酒だ。OSさんも加わり乾杯。

温泉も良かったが、洞窟から出る熱気はサウナ風呂みたいで、阿曽原温泉は1つで2度味わえる温泉だ 。


 10月13日 晴れ
山の頂には白い物があった。ここは地熱があるのか前夜の扇沢より暖かく、夜中には星も見えていた。
今、阿曽原温泉を帰り見て、建設当時は街の様だったと言うがとても想像がつかない。

古くは江戸時代の山周りに始まり、大正末期にはダム建設候補地を探して川を遡ったらしいが、道具の無い当時の事を想像すると命掛けの入山だったと思う。

志合谷のトンネルは意外と長く感じ、対岸の奥鐘山大壁は迫力もあったが、雨の日にしか見られない大壁をつたう白い滝筋がとても綺麗だと言う。

泡雪崩で580m先の奥鐘山大壁の岩棚まで78mの山を越え、5階建て鉄筋コンクリート宿舎が、1階部分を残して泡雪崩で飛ばされたという小説の一節を思い出し、現地に立つと580mという距離が、湯之谷の「金山沢奥壁」を見た時と同じく、ほとんど距離感がつかめない。

所により30センチ足らずの凸凹道、ここから落ちても怪我はしないそうだ。人間の形がクズレ「物体」となるという。
欅平までの下りは過去から現代への階段のように思えた。駅には観光客がいて、ここには文明社会があり妙な安堵感があった。

個人の宿題に付き合ってくれた仲間に感謝の握手。心残りの箇所も幾分あったので、来年は欅平からのんびりと阿曽原温泉まで往復してみたい。    (記)宮