2014/9/20-22 『会山行』 水無川 オツルミズ沢

  メンバー : ON、MT、AS、HR

  20日(晴れ) 千之沢小屋駐車場 6:00・・・オツルミズ沢出合 6:25・・・カグラ滝上 8:00・・・サナギ滝下 11:00・・・
           滝上15:45・・・BP 16:50
  21日(晴れ) BP 6:00・・・80m大滝下 10:00・・・滝上 11:00・・・郡界尾根最接近部BP 15:00
  22日(霧)   BP 6:10・・・駒ノ小屋 9:00~9:45・・・枝折峠 12:45



20日
駐車場から林道を30分ほどで出合に着く。
今まではここから入渓していたのだが、今回は時間短縮の為、ショートカットで巻道をカグラ滝の中段まで行く。

残置ボルトを支点に早速アンザイレンしてOトップで取り付く。

上部で右の薮に入り、ブッシュを掴んで強引に登り、右から回り込むように滝上に出る。


ゴルジュの中の小滝を、時に腰まで水に浸かりながら越えて行くと、天空のV字の切れ目から水が流れ落ちているのが見える。 サナギの滝だ。

気持ちが奮い立つが、行く手のゴルジュは雪渓に阻まれており、右岸のルンゼから高巻きに入る。

郡界尾根に上がっている枝沢を2つ3つ、1つは懸垂をしながら越えて行く。
枝沢はどれも急峻だが水量は無いに等しく越える難しさはない。
右上しながら巻き上がりサナギ下の連瀑帯下部に下りる。ここのスラブ滝を快適に登ればサナギの滝下に着く。
さあ、いよいよサナギ滝の登攀だ。

右岸のブッシュ混じりのスラブ帯を登るのだが、まず、右岸に5mほど上がり、ブッシュでビレーを取ってH君トップで登ってもらう。

急だがフリクションは効くしブッシュが所々にあるのでそんなに難しくは無い筈だが・・・ザイルが落ちてきた??


どうやら固定の際に落としたらしい。
もう1本のザイルでOトップで登り、Aさん、Mさんに登ってもらう。

ここから更に垂壁下のテラスまでザイルを伸ばすのだが、落石の音で見上げるとなんと!カモシカがいるではないか。その落石がAさんに当たったようだが幸いにも事なきを得た。
これ以上落石を起こされてもかなわんので、刺激しないようになおかつ早く、全員テラスに集合。

いくら四足でもこんな急峻なところから下へ降りられるんだろうか。彼の行く末が少し心配になる。しかし、我々もここからが今回の核心部。40年の間にブッシュも育って丈夫になったようだが、こっちの体力はだいぶ落ちた。



ザックが後ろに引っ張られるような壁をクライミングというよりは、ほとんどブッシュを掴んで腕力で登る。

1ピッチで懸垂支点に届くと思ったら、5mほど足らず、岩壁の途中にハーケンを打って後続を待つ。

懸垂場所は狭い上に、残置ハーケンの信用度もイマイチで気が抜けないところだ。
15mで落口に立ちようやく皆一息をつく。 さて、あとは今日のねぐら探しだ。

小さな巻きから一旦沢床に下りたものの、お釜+ゴルジュが続くようで再び巻き上がり、小尾根を越えたスラブに今宵のねぐらを求めた。
比較的大きな階段状のスラブでテラスといえるような場所もあり、焚火もできたりして、オツルミズでは贅沢な場所だった。

但し、雨が降ったらすぐ高みに逃げなくてはならない。

幸いあまり寒くもなく、満点の星空の下で夜を明かすことが出来た。


21日 今日もいい天気だ。急斜面を避けスラブを少し上がり薮に突っ込む。

相変わらず右岸側を高巻いており、沢床からは200mくらい上がっていると思われる。

まず目指すは80m大滝だ。薮は濃いが稜線の薮の比ではない。
トラバース気味に漕いで行くと垂直の崖の上に出、下のルンゼが80m大滝に繋がっていた。
20mの懸垂でルンゼに降り、大滝の中段に立つ。


80m大滝は、下からは今まで登った記憶がなく、今回楽しみにしていた所だ。
遠目には厳しそうだが意外と登り易い。
1ピッチで落口に立つと今までとは打って変わって穏やかな渓相が延びていた。

そこからは、20~30mの滝が次々と現れ、登れない滝は小さく巻き、雪渓も時々現れブリッジの下をくぐったりしたが、気持ちのいい遡行を続ける。

やがて、雪渓に埋め尽くされた谷を越えた小尾根の末端で、少し早かったがこの日の行動を終了した。

ここは郡界尾根から家ノ串尾根への下降地点付近で、尾根までは近い。

前回はここから郡界尾根に上がり、薮漕ぎでフキギ下まで行き、沢床で2日目のビバーグをしたことを思い出した。

傾斜地の草付であったが、沢床も近く水がとりやすかったのでぜいたくは言えまい。
Mさんがちゃっちゃと転落防止用のザイルをセットしてくれた。 次にやることを読んで動く、流石である。

夕日を眺めつつの憩いのひと時は、何とも言えず心落ち着く時間だった。
それに比べ、ハーネスを付けザイルに固定してでの就寝は、マットで滑るせいか夜中に何度もずり落ち、寝不足気味で朝を迎えることとなった。
22日 朝から谷はガスに覆われていたが、雨が落ちてくる気配はなく、沢通しに進むこととする。
沢床へは10m。 ゴボウで下りられるが、荷物を背負っているので懸垂で下りる。

左岸側は駒の山頂に続いており、遥かなる高みに感じられるが、右岸側は郡界尾根が近くに迫っていることもあり、ガスの切れぎれに稜線が確認でき、沢中は明るく開けた感じである。



初っ端から10m前後の小滝が次々と現れ、小さく巻く滝もあったがほとんど登ることができ、雪渓もたいして残っておらず快適に遡行していく。

フキギ下を通過し、やがて両岸が草紅葉に覆われはじめ、赤い実を付けた木イチゴの群落が現れると駒ノ小屋が近いことを知る。

まだ先かなと思いながら源頭の雰囲気の中を歩いていると、沢に敷設してある木の升が目に入り、小屋下の水場だと気づき、左に着けられた道をあがって駒ノ小屋に着いた。

2階の窓からノリさんが顔を出していた。 昨日からサポートで小屋に泊まっていてくれた。 ありがたい。
十分休んで、下山はお言葉に甘え枝折峠に下り、登山口の駐車場まで運んでもらった。

オツルミズ沢は水無流域第1級の沢で、険谷で知られている。
初めて登ったのは40年前の11月2~3日だった。
あれから5回目になるだろうか。前回登ったのは2004年の10月で、年をあけて登って来た為、ルートの記憶はかなり薄れていた。

登山靴で登っていた時代からアクアステルスで登るようになり、装備は進化してきたが困難さは今でも変わらない。
もう登ることはないだろうと思っていたが、AさんやH君の体力やMさんの技術に助けられ、また、天候にも恵まれ充実した遡行をすることが出来た。

「困難な山行が、充実した山行となるには、仲間の力があってこそ」を改めて実感できた山行だった。
また困難な山行ほど仲間のサポートがありがたいことはない。 ・・・・ (記) ON


「たくさんのことが詰まっていて溢れそうな沢」(変な意味ではないのですが・・・)
総会で決まったオツルミズ沢。 その時から「行けたらいいな~、行けないだろうな~」なんて思いながらの半年後。

今を逃したら行けない気がする!、そんな急き立てられるような気持ちになり立候補しました。
ただ今季初めての沢になるということ&体力、技術の不安でいっぱい。
直前に会長さんには相談したり、装備を揃えたりとバタバタの準備になりました。

オツルミズ沢は滝も藪も素晴らしく、様々なストーリーが描ける沢でした。
藪は深くなかなか手強かったけれども、登りごたえがあって、よいスパイスとなりました。

また3日間共に天気に恵まれ、満天の星空の下、シュラフのみで野営したことは最高の思い出です。
(ただ2日目のやせ尾根での寝床はずり落ちる身体を保持するのが大変でしたが・・・)
そして、かわいい!なんて思っていたカモシカからの落石に命中したことも・・・いい経験になりました。

楽しいことばかりだけでなく、今回は反省点が多く、技術不足を強く感じる山行になりました。

雪渓処理や支点の取り方以外に懸垂ポイントの探し方、藪のルートの取り方など多くの課題を再確認することができました。
今後技術に磨きをかけて、また挑戦したいです。(また10年後でしょうか・・・?)

怪我なく(カモシカの落石除き)、全行程を終えることができ良かったです。
リードをしていただいたOさん、私のミスを拾ってくださったMさん、発案してくれたH君、ありがとうございました。

そして、ゴールの駒ノ小屋にて、温かい笑顔で迎えてくださったノリさんには感謝です。 たくさんの果物、美味しかったです。 ・・・・ (記) AS

越後駒ヶ岳の二万五千分の一の地形図を見ると、山頂付近であるのに一個の谷を形成し蛇行しながら流れ落ちるオツルミズ沢がすぐに目に入ります。

沢登りの素人でも歩いてみたいと思うような沢です。
しかし、オツルミズ沢を歩いたことのある諸先輩方にお話を聞くとひどい藪漕ぎばかりの沢登りになると言われます。

雑誌を読むと本当に越後駒ヶ岳を味わいたければオツルミズ沢を登れ、きっと素晴らしい遡行になると言います。

果たしてオツルミズ沢の実態はいかなるものなのか。
今回オツルミズ沢の遡行に参加させていただいて、結果いろいろと失敗してしまい悔いは残りましたが、3日間ともほとんど晴れ、慣れない草つきにも苦労はしましたが、オツルミズ沢はまた来たいと思える雄大な沢でした。

今回、私はついていくのに精いっぱいで、自分が一体今、オツルミズ沢のどの辺を歩いているのか全く把握できていませんでしたが、これから技術を身につけて何度も通い、この沢を深く知りたいと思います。 ・・・・ (記) HR