2015/3/8 阿弥陀岳北陵

     メンバー : AS、ST(清津)

     美濃戸口 5:10・・・行者小屋 8:30~9:10取付・・・10:30~(待機)12:00・・・阿弥陀岳山頂 14:30・・・
     行者小屋 16:00・・・美濃戸口 18:10


前回の八ヶ岳山行で、一目ぼれをした阿弥陀岳に会いに行って来ました。今回は前夜泊の日帰り山行。泊まりよりずっと軽い荷物で足取り軽く、行者小屋へ向かいました。

前回、前々回とは違い、南沢を経由しました。南沢は木々の間を縫っていくような道で北沢より好みの道でした。ただ、小さな分岐、アイスゲレンデや紛らわしい踏み跡が多く、暗い時は要注意です。

出だしの天気はまさかの雪。歩き出しても止まず、段々といい降りになってきます。夜降って止む予定が、低気圧が雨雲を連れて来たようです。暑いのに中々上着が脱げず、汗ばむアプローチになりました。途中、北西陵の取付にはテントが2張りほどありました。もう出発しているようで、辺りはしんとしていました。

岩稜への取付
行者小屋から赤岳方面
阿弥陀岳山頂直下
小屋に着くころには晴れてきて、周囲も明るくなってきました。
小屋の周りには出発の準備をする人が多くいました。

北陵への取り付きは事前にチェック済みだから大丈夫・・・と思っていましたが、1月の頃と大分様子が違います。
雪が多く、どの沢筋か判別が難しくなっていました。トレースも多く、どれが正しいか良く分かりません。
とりあえずこれかな(?)と思う後を追いかけます。

間違えたかなと思ったりしましたが、登るにつれて段々と前回の記憶と合致してきます。隣の尾根をみると間違えてこちらに登り返してきたトレースもありました。後の行程のためにも事前のチェックも大切なのだと感じました。

北陵の支尾根はひたすら登りが続きます。
1月に苦労した主尾根との合流直下の斜面は締まっていて、何てことなくクリアできました。降雪直後は緩みやすく、登り難いでしょう。

主稜から岩稜の取付までは、一番嫌だったところです。
緩い斜面を登った後は締りが悪い雪の斜面が現れます。早く切り抜ければいいものの動作が遅い私は休みながら進み、ふくらはぎがつりそうになりました。

岩稜取付にはまだ多くの人が待機していました。泊りのパーティが多く入ったようです。
岩稜に取りつかずに抜けられる方法もあるようでしたが、今回の目的は岩なので、しばらく順番待ちをしました。
この日は風も穏やかで雪も舞う程度の日でした。もし強風だったとしたら、迷わず懸垂下降で下山だったでしょう。

取付からは隣の北西陵が見えました。
Tさんが北西陵でのことを話してくださいました。私にはまだまだ届かないレベル。話を聞くだけで、冷や汗をかいてしまいます。

1時間半ほど待って、やっと順番がまわってきました。待ち時間が長く、体が強ばっていましたが、登り自体は比較的簡単で、あっけなく終わってしまいました。
初めは手のみ、2~3ピッチは片手アックスが良かったです。最後の支点はスタンディングアックスビレイが最適なようで、勉強しておきたいと思いました。

曇りがちだった天気が続いていましたが、山頂に着いた頃は素晴らしい景色が広がっていました。
しばらく休んでいると北西陵から来たパーティが来ました。難しかったようですが、達成感があったようで、嬉しい気持ちが伝わってきました。

阿弥陀岳に会うことのほかに私にはもう一つの目的がありました。今年2月に大学生2名が阿弥陀岳で命を落としました。どうして事故が起こったのか、推測でしか分かりません。でもどのような場所で起こったのか、この目で見てみたいと思いました。

月も違い、ホワイトアウトやガスに巻かれてもいない状況で、その現場にいても分かることは少ないですが、ただ地図を見ているだけでは分からないことは感じることができたはずです。
いつかは出会えたかもしれない若い2人のことを思い、自身の教訓にしたいと強く感じました。

山頂から中岳沢へは急な下りとなります。雪はやや緩い程度で、アイゼンが良くききました。ガチガチに凍ってしまうと危険な斜面です。

中岳沢では雪崩に気をつけて、下降しました。
最後はなんちゃってシリセードで滑りながら、雪を楽しみました。

行者小屋に着くと段々と雲が湧いてきました。山の上はもうガスです。日暮れも近くなってきました。私たちの前にもう1パーティいたので、少し心配になりました。無事に下山すること願って、私たちは足早に美濃戸口へと向かいました。

※最後のパーティにいた高校生の女子は山頂から中岳沢間の急斜面で滑落したそうです。翌日無事に救助されました。この日の夜は比較的気温が高い日でした。そうでなかったら、無事では無かったでしょう。この方は取付で、既に具合が悪い状況でした。他メンバーもいたので、登らずに下山が良い選択だったかもしれません。 ・・・・・ AS