2015/5/2-4 GW縦走 尾瀬~丹後山

     メンバー : ミヤ(単独)

今回の単独縦走では、小事が大事とならぬように注意したつもりだったが、滑落で一歩間違えれば大事となった。
忍の藪漕ぎは、筋力不足もあり2日間に渡り実に7時間以上も楽しませてもらった。
過去、幾つかの縦走の中で最も厳しい山行であった。このルートは若いうちに走破しておくべきでした。
腐雪でのスノーシューは楽で速い。

2日 晴れ  小出IC集合6:00
磯部・相坂・吉田・滝沢チームの車に、無理を言って同乗させて頂き、片品村に向かう。
鳩待峠8:10これから沢山のハイカー達で賑わうだろうが、この時間帯はまだ空いていた。ここで山スキーチームと別れ単独となる。

至仏山は鳩待峠の門番。入山者を見張っているような威厳を感じる。樹林帯を下る残雪はとても滑りやすく、ストックでバランスをとりながら下る。

下から「やじろべい」みたいに腕を広げた、二人の若者が手ぶらで近づいてくる。足元はズック。この坂をどうやって登るのだろう、と心配して「ガンバ」と声をかけたら、手を突き上げ「ウオ~ス」と気合は入っていた。

ナラ林の中を進みやがて川上川を渡る。
鳩待峠から1時間弱で「山の鼻」に着く。そこにはすでにカラフルなテントが幾つも張られていた。

山の鼻を背に右が尾瀬ケ原。左は至仏山の裾野。今回は正面の猫又川沿いに凹凸の雪原を進む。
足跡があるので迷うことはないが、幾つもの支流があり直線的には進めず意外とロスタイムとなる。
それでもスノーシューは凹凸をあまり苦にせず進めて、登山靴よりも楽で速い。

ダケカンバの大木が目印の柳平を10:30通過。
11:10分頃1470m付近で右側の尾根に取り付き「岳ヶ倉山」先の稜線を目指す。
青空がブナ林をいっそう綺麗にひきたてている。

BP1より 奥が平ヶ岳
大水上山より 奥が平ヶ岳
ひたすら登り1730m12:30。
休む回数も多くなりシャリバテする前に、歩いてきた山の鼻方面を見ながら昼休息。
ススヶ峰の稜線は広く、地図では湿原になっているみたいだ。
その昔、尾瀬から苗場山まで湿原がつながっていたのかもと妄想してみた。

そこからは一旦下り再び登り返し、大白沢山分岐を右へ進み、14:50に1920m付近で「ホテルツエルト」にチェックイン。
BP1。
16:00過ぎに少し変わった登山者が声をかけてきた。「鳩待峠までチャリで来て、平ヶ岳日帰り」と言う。
この時間で鳩待まで帰るそうだ。 「ガンバ」
かなりのベテランなのだろうか?雰囲気では微妙・・・。

3日 晴れ  BP1 ご来光を見て5:00チェックアウト。
平ヶ岳は遠くに見える。
一旦下り白沢山を越え、長い登りの先が平ヶ岳山頂。尾根筋なのでルートを間違うこともなく、小さなクラックが少しあった程度でした。

残雪期初となる平ヶ岳の山頂7:30着。ガスがかかると全く目標物のない地形。証拠写真を撮り先へ進む。

2072m藪に突入8:10。ここまでは白が90%。しかしここから藤原山までの稜線は、緑が青空に憎い程よく似合い、丹後の白い山は遥か彼方に見え、泣きたくなる。

滝ヶ倉山まで登り下りを繰り返し、ニセ藤原山を通過したあたりで失速。天気もいいし「明日ガンバルさ~」で、早目のBP2 14:30。
今日の走破ルートをつまみによく頑張ったと杯を干す。そして明日の走路を見て又一杯。昼間から赤い顔して「独りご苦労さん会」この瞬間がなんともいえないね。プファー。

4日 晴れ  BP2 5:00発
藤原山を通過して藪の最終地点は目の前にある。長かった藪にようやく終劇がおとずれた。大水上山8:30着。
まだ下山路が残っているのに、平ヶ岳からの縦走路を帰り見て、長年の夢と藪労が報われ思わず万歳が出た。
丹後山避難小屋9:10着。

小屋には先客2名あり。駒ヶ岳方面の計画だが、天候が崩れる予報なのでここで停滞との事。10:30小屋発。

ジヤコの峰辺りは残雪で登山道がひろえなかった。ここまで来れば完走したのも同然と、気が緩みミスをする。
雑木の中にもかかわらず、地図確認をしないで残雪を下れば早いと考え、直線的にグリセードっぽくかなり下降してしまった。

あれ~景色がおかしいと思った瞬間に滑落。ストックで滑落停止を試みるが、急斜面で加速するのを感じ多分止まらないだろうと判断。
体を反転させながら根回りめがけザックから体を落として停止させた。

かなり滑落していたが、以外と冷静に対処できたと自負。だが、ポケットの入れておいたはずの地図がないのに気が付き落胆。最後に地図を見たのは小屋の中。

あそこに忘れることはまずない。日向山と沢筋を見ておおよその位置を予想。このまま下れば多分林道に出るだろうが増水した川の渡渉には無理がある。
尾根までトラバース気味に移動する事にする。

登山道までアルバイトをしたが、栃の木橋13:00着。
以前、巻機から縦走してきた時には、この林道にはほとんど残雪がなかった様に記憶していたが、今回はデブリありの残雪満タン。アイゼンとピッケルに装備変更。

砕けちぎれた木々は散乱し、根こそぎ抜けた倒木や落石は川まで達している。時折膝まで抜ける落とし穴があり、ピッケルで確認してからでないと進めない。

この林道のデブリは危険がいっぱい。増水した川なら一気にダムまで行けそうだが、下山連絡ができそうもない。
1時間も同じ傾きで移動して行くのは疲れきった体には酷であった。
14:10十字峡着。「ふきのとう」をゲットしながら15:20ダム管理棟着。小さく万歳。