2015/5/30-31 ザイル開き&セルフレスキュー訓練 in 権現堂

  30日(土) ザイル開き

ザイル開きは15年ほど前、新しく買ったザイルを持って戸隠神社にお参りし、安全を祈願したのが始まりだったが、同時に山に散った仲間への鎮魂の意味もあった。それ以来、ここが渓流公園として整備されるまでは水無川で何年もやってきて、最近は、整備されたこの公園でのザイル開きが定着した。
場所が変わっても昔からやることは変わらない。そう、飲むことである。

今年もミヤさんが焚きもんを用意してくれて、夕方現地に着くと赤々と炎が上がっていた。
準備して飲み始める頃、時折パラパラと雨粒が落ちてきた。
今朝までは1週間以上も晴れて夏のような暑さが続いていたのに、「どういうこっちゃ」と思ったが、しかし、そんなことにも負けじと、持参した七輪で肉を焼いたりして、なんだかんだと、飲み、食い、結局深夜の0時頃まで飲んでいたのだった。
Sさん、ビールの差し入れご馳走さんでした。


  31(日) セルフレスキュー訓練 8:00~14:30

     参加者:ON(進行)、ミヤ、MT、NY、OSe、OS、TH(HC)、STさん(一般)

今回のテーマは、1/3引き上げシステムの習得1本に絞って行った。
引き上げシステムの訓練は過去ほとんどやって来なかった。

「実際の現場ではできない、ある程度の道具が無いとできない」という先入観からだったが、今回は、簡易ハーネスセットを、メンバー全員が標準装備として持っているという前提で行った。

自分でも知識だけで技術は持っていなかった為、自宅天井の梁にロープを掛けて、あーだこーだとセルフ練習をして臨んだ。

午前中はまず、1/3引き上げシステムの基本原理である、動滑車について理解してもらうために、キャンプ場のあづまやの梁にロープを掛け、バネばかりとプーリー(25年位前の自作品)を使って、吊るしたポリタンの重量が1/2、1/3と変化するのを確認してもらった。

次に実際ザイルを使ってそれぞれにやってもらう為に、まず、このシステムに必要な結び方を練習する。

ここで最も重要なのはフリクションノットだ。
スリングの径や形、カラビナを入れるとか色々と方法がある。

一通りの結び方を終えて実際にやってみたが、やはりフリクションノットがキーポイントだった。

  午後からは総合練習を行う。
小黒川を崖下と想定して、落ちた人は右腕骨折、引き上げは自分一人、装備は2人とも簡易ハーネスセットと30mロープ1本という設定で、

 1.自分に簡易ハーネスをセット。
 2.立ち木にインクノットでザイルを固定。
 3.反対側の末端を8の字で自分にセット。
 4.カラビナ使用のバックマンノットをセットし、
   半ノットで遭難者の所に懸垂下降。
 5.遭難者に簡易ハーネスをセットし、
   自分に付けていたザイルの末端を遭難者にセット。
 6.バックマンノットを使って登り返す。
 7.1/3引き上げシステムをセット。
 8.遭難者を引き上げる。

この一連の作業がスムーズに行えるよう練習を行う。

  訓練を終えて
総合練習では当然プーリーを使わなかったが、カラビナだけだとやはりかなりブレーキがかかる。
また、戻り防止のためのフリクションションノットは、なかなかうまくいかず、ロープマンやタイブロックを使って操作性をよくすることが必要だと思った。

実際、簡易ハーネスセットで引き上げができるのは、遭難者の状態や現地の状況がそう厳しくない条件下だと思う。
しかし、限られた装備を使いこなせるかどうかで、その状況は良くも悪くも変わってくる。

まずは、各自が、簡易ハーネスセット(120cmソウンスリング1本、60cmロープスリング2本、安全環付カラビナ1枚、カラビナ2枚)とパーティーにφ8×20mロープ1本は、標準装備品として持って行ってほしいと思う。

できれば、前述のロープマンやタイブロックのどちらか1個を、簡易ハーネスセットに加えれば、もしもの時の操作性が格段に良くなる。

自分が当事者にならなくても、いつなん時事故に遭遇するかも知れない。
そんな時、自信を持って対処できるようになるには、1回や2回講習を受けただけでは駄目なわけで、結局は日々の練習しかありません。

自主練のほか、例会とか集まるたびに練習してみてはどうでしょう。あとは火事場の馬鹿力が助けになるでしょう。
                             (記) ON