2015/6/28 妙義山 茨尾根縦走

       メンバー : (L)NY、OSe、ON、MT、ノリ

妙義山は、西の耶馬溪、寒霞渓と共に、日本三大奇勝の一つに数えられる。天にかみつくような奇岩怪石は、各種の安山岩の溶岩、岩床および岩脈と堆積岩の凝灰岩、凝灰角礫岩等から成っていて、赤城火山や榛名火山のように火山活動によって形作られたのでなく、堆積させた海が退いて湖になってから、湖底に堆積した火山砕屑物が厚く積もって地層を成し、それが浸食や風化を受けて、特異な景観となったらしい。
以前より、多数の死亡・重症等の遭難が繰り返されるこのギザギザの岩稜に興味があり、登ってみたいと思っていた。

当日は、会長、ノリ、MT、NYの4氏と谷川岳東尾根を登る予定で、谷川岳ロープウェイ駐車場に7時集合である。
関越トンネルを抜けると雨であった。一昨日の天気予報では降水確率40%くらいで、東尾根を登れるか否か微妙であったので、もしも駄目であれば、一人で天気が良い西上州の妙義山に向かうつもりで、妙義山縦走の登山計画書を事前に提出していた。
水上ICを出たところのコンビニで食糧を調達して、ホテルのオニギリは二日酔いで食う気になれず、コンビニの外でサンドイッチを食っていると、携帯に湯檜曽にいるという会長から連絡が入る。雨で東尾根は登れないので、筆者の計画の妙義山に転進しようとなった。車は水上町の道の駅に置き、会長の車に乗り込んだ。

関越道を南に向かうにつれ次第に空が明るくなり、雨も上がった。藤岡JCTから上信越道を進むと迫力ある妙義山の特異な岩峰が目に入ってくる。

松井田妙義ICを出て妙義神社近くの市営駐車場に車を停める。駐車場を8時出発。
荘厳な妙義神社の境内を通り、大の字岩峰に向かう。
けっこうな急登で脂汗が滲み二日酔いの体に応える。

50分程度で5m四方の鋼製の大の字がある岩峰に到着。
この大の字は、江戸時代に妙義神社の妙義大権現を省略し、「大」としたもので、妙義神社にお参り出来ない村人や旅人が、中仙道の安中、松井田宿から「大の字」に手を合わせお参りしたと云われている。

「大の字」の1m先は、見た目100m位の垂直の岩壁となっていて、落ちれば命は無く、油断出来ない。
大の字から20分で辻に到着。ここからが要所々に多くの鎖場があり、登山地図に破線で表示される上級者向けのコースとなる。
湿って滑りやすい岩場の鎖を辿って行くと巨石に挟まれた奥ノ院に着く。山行の安全を祈願して、その手前右壁にかかる30m位の直立した鎖場を慎重に登る。この岩場も湿っていて滑りやすい。

急な登山道を登って行くと、視界が開け表妙義の主稜線に出た。
見晴という地名のとおり、裏妙義や浅間山、眼下に上信越道などが一望出来る。

表妙義は、白雲山、金洞山、金鶏山の三山を称し、この内、金鶏山は登山者による山麓の車道への落石防止のため、全山入山禁止となっている。

主稜線も頻繁に鎖場が出現し油断が出来ないが、岩は乾いており、凝灰岩特有のゴツゴツした岩場のため、鎖を辿って行けば容易に登れる。
白雲山と小さな標識がある山頂に到着すると、西上州や奥秩父の山なみが見渡せられた。

ところで茨尾根(ばらおね)とはどういう意味だろうか。
茨尾根は、白雲山と金洞山の間に連なる岩稜を指すらしいが、ネット等で調べても何でこの名称が付いているか解からない。

「茨」は、ぎざぎざと小枝が出て、棘のある低木の総称である「いばら」の事であり、妙義山の尾根がぎざぎざになっているから、そのような名称になったのではと想像するが・・・。

次々と現れる岩稜を鎖で登降し、相馬岳に到着すると、行く手にニョキニョキと垂直な岩峰が聳える、金洞山が現れる。

中間道への下降点であるホッキリ分岐、裏妙義の国民宿舎へ下りる女坂分岐を過ぎると、本ルートのハイライトである鷹戻しである。

高度感、露出度抜群の岩稜で、鎖、梯子を計50m登る。
鎖を掴む腕力、握力が消耗して手を放してしまいそうになる。

鷹戻しのピークに到達すると次はルンゼ内2段25mの下降である。ハング気味の岩場で足場を見失い、一瞬宙吊りになって慌てた。
鷹戻しのピーク通過後の安堵感からか、ここでの滑落・転落事故が多いらしい。
NYさんが懸垂下降の練習と言ってロープを出して降りた。

東岳の手前で、背後に何か声がするので振り返ると、途中で追い越したカップルが鷹戻しのルンゼを下降しているところで、下で男性が指示を出すも、女性が鎖にしがみつき、なかなか足が出ないらしい。
時間がたつと腕の力が無くなり、ますます大変になると思いつつ先を行く事にした。

東岳、中ノ岳の稜線は幅70cmくらいで、足元から垂直に切れ落ちていて、真下に第四石門の休憩所の屋根と一般登山者の姿が見える。風が強ければ怖い所である。

中ノ岳の先の主稜のコルで茨尾根の縦走は終わり、緊張感は無くなる。
中ノ岳神社向かう下山路を左に行き、筆者以外に石門を見た事が無いという第四石門を経由する事にした。
第四石門をバックに会長のカメラで記念撮影をして中ノ岳神社に向かった。

タクシーを頼み、車を置いた駐車場に向かい、もみじの湯で入浴して、「道の駅みょうぎ」に寄って帰路についた。

茨尾根の縦走は、鎖を離さなければ何てことも無いが、ただただ鎖を辿って行く登山は物足りなさを感じる。
メンバーの表情にもそのように表れていた。