歩いてみたかった南アルプスの南・・・。
Iさんからも「いい所だよ」と聞いてますます思いが募った。いろいろ迷いはあったが、行きたい!と自分を奮い立たせた。
懸案のアプローチは主人に協力してもらうことにした。
7月19日 雨
易老渡への林道は想像よりも悪路で、付き合ってくれた主人には本当に感謝でした。
(主人は往復15時間のロングドライブだったそうです)
雨の便ヶ島キャンプ場の、東屋の下で前夜祭。
7月20日 晴れ
便ヶ島より少し戻り易老渡より入山。易老岳まではガマンの上りが続く。
分岐からは林間の緩い道、そして谷筋のゴーロを上り終えると静高平のお花畑。
センジヶ原の木道に出ると光小屋が見えてくる。おとぎ話のようなロケーション。
イザルヶ岳に立ち寄り展望を楽しんでから光小屋へ。小屋脇に幕営後、光岳へ向かう。 静かな佇まいの山頂でここまで来たんだ・・と感慨にふける。その先の光石で展望を楽しみテン場に戻る。ここは百名山の百座目の人が多いみたいだ。
今回軽量化するためシュラフを持参せず、夜は寒くてよく眠れなかった。

イザルヶ岳でご来光を見る。富士山のシルエットが美しい。
易老岳分岐から北上。
静かでたおやかな道・・・縦走する人、トレランする人、様々な山行スタイル・・・私も山を楽しもう。
今日は茶臼岳~上河内岳~聖平小屋までの行程だが、歩いてみると1つのセクションが長い。これが南アルプスの山なのかなぁ・・・と思う。
聖平のテン場は広々としていて快適に過ごせた。
光のテン場でおとなりさんだったNさんに美味しいコーヒーを淹れていただく。
夕食は途中でゲットした行者ニンニク入りラーメン。
7月22日 晴れ~雨・風
今日は聖岳、赤石岳を越えて荒川小屋までの長い行程になるので、早めに出発する。
聖岳へのザレた急登は足元が崩れ落ちそうで緊張した。登頂後、ザックをデポして奥聖岳へ・・・花園もあったりして雰囲気の良いところだった。
縦走に戻り次は兎岳へ向けて急下降のち急登。兎岳直下で山友とスライド、元気をいただく。
兎岳でガスが湧いてきたなと思っていたら、やがて雨・風に・・・展望はなくなり、牛歩戦術と決めこんで、心を無にしてひたすら歩く・・・歩く・・・。

皆さん意識の高い人ばかりだ。
赤石岳は雨・風が強く、休む余裕さえなく、通過しただけ・・・荒川小屋までさらにアップダウンを繰り返す。
小屋が見えてもなかなか着かないのがまた南アルプスの印象だ。
荒川小屋到着は16時すぎ、時間も遅いし天候も悪いので今日は小屋泊まりにする。
夕食は名物のカレーライス。
同じ行程だったKさんと談笑。
小屋のシュラフでよく眠れた。


終日雨予報。Kさんは停滞するそうだが、自分は風が弱いので歩けると思い前進を決める。ただし到着地を決めないままの出発となった。
この日の行程は計画段階から迷いがあった。悪沢岳を越えて蝙蝠岳~塩見岳~三伏峠へ抜けるか、小河内岳から三伏峠小屋へ行き塩見岳~蝙蝠岳への軽身ピストンにするか・・・歩きながらもずっと迷ったが、二軒小屋に下りて自分が一番歩きたい蝙蝠尾根に行こうと決めた。
二軒小屋へ続く尾根道は雨の似合う美しい森の道でこっちに来てよかったと思うが、マンノー沢頭からの激下りはかなりきつかった。
憧れの瀟洒な二軒小屋ロッヂを横目で見つつ登山小屋へ。
電気や水道もあり気兼ねなく使える登山小屋は私向きかな・・・濡れた衣類や道具を干させてもらう。
明日の蝙蝠尾根のことを考えると緊張して眠れなかった。
7月24日 くもり~晴れ
早起きするも気遅れしてなかなか出発できない。
まだ暗い林道を歩いている間もビビッて笛を吹きまくる。
取付はお約束の急登、薄く残っているマーキングを見落とさないように慎重に歩く。
蝙蝠尾根中間部の徳右衛門岳までは美しい森が続く。たとえようのない苔むした緑色の世界に息を呑み、自分を溶け込ませたくなる。
徳右衛門岳から先はシラビソの森、倒木も多くなかなか森林限界から抜けなくて嫌気がさしてくる頃、やっと稜線上のピークに飛び出す。ガスで山頂を見失わないように慎重に、もう少し・・・もう少し・・・と言い聞かせながら歩く。
ようやく辿り着いた山頂で大休止。
北俣岳を越え、塩見岳に至るまでまたいくつかのピークを越える。途中逆ルートの男性とスライド。
塩見岳が近くなる頃から天候が回復してくる。暑さのせいか疲れのせいか足が思うように進まなくなる。

三伏峠小屋までは歩きやすい道で悔いの残らないように最後はスピードを上げて歩く。
スタートから13時間後三伏峠小屋に到着し、長かった、でも楽しかった1日の行動を終える。KさんとNさんが心配しながら待っていてくれた。感謝です!ありがとう。
7月25日 晴れ
KさんとNさんと鳥倉の登山口へゆっくりと下山。一人で始めた山旅が三人で終えられることが嬉しい。
そのあとバスと電車を乗り継ぎ、車窓から歩いてきた山並みを眺め、山旅の思い出に浸りながら帰郷した。