2015/8/22-24 裏銀座~読売新道~ 針ノ木谷 周回縦走

      メンバー : OS、他1

8/22
3時40分発。昨年、雨とガスに視界を阻まれた「裏銀座」のリベンジ。これに念願の読売新道をセットし、さらに針ノ木谷の渡渉と、期待の大きな旅の始まり。天気が悪いため出発を1日順延。さて、結果は如何に。不安を抱きながら、117号線を南下し、順調に七倉山荘の駐車場到着。

高瀬ダム天端に到着すると、天候はガスっていて山は見えない。トンネルを越え、ブナ立て尾根に取りつくと、ぽつぽつと小雨が始まった。雨っぽいのが幸いしてか、暑さは昨年のピーカンと違いだいぶ助かる。5時間の登りを3時間半で登ることができた。烏帽子小屋前で、小休止。三ツ岳でも雨は止んだものの、ガスっていて景色はない。またしても野口五郎は見えない。落胆しながら五郎小屋へ向かう。

ところが、小屋に着く頃青空がのぞいてきた。着替えてビールを飲もうと思った時、小屋からスイカの大サービスがあり驚く。それも沢山あっていくつ食ってもいいと。ビールの都合があるので、2個でやめたがうまかった。こんなサプライズサービスは初めてであった。

徐々に稜線の西側が晴れ気味になってきたので、稜線散歩にでかける。五郎の山頂からは、赤牛と水晶、鷲羽や槍も見え、360度の素晴らしい展望が拡がっていた。

ガスが少しあるが、昨年見えなかった縦走路が良く見え、来た甲斐があった。景色を十分堪能し小屋に戻る。

夕食後も夕焼けが見たいので、また稜線に上がる。今度は、ガスも晴れて、さらに素晴らしい景色となっていた。日が暮れて、星空になるまで夕焼け・小焼けを堪能し小屋に戻る。

8/23
三度目の稜線に上がると、またしても朝の素晴らしい景色が広がっていた。五郎の山頂で、360度の展望にしばらく酔いしれる。ここは、百名山が相当数見えて、眺望の素晴らしい山であった。先が長いので下りに入る。

真砂岳は西側を大きく巻き、まもなく湯俣との分岐があった。やせ尾根の小アップダウンを進むと、水晶小屋が徐々に近づいてくる。昨年は、ガスの中だったのでまったくわからなかったが、小屋までは結構な登りである。景色を見ながら、写真を撮りながら、ゆっくりと高度を稼ぐ。

8時の荷上げのヘリが来た。今日は、数日振りの好天で、荷上げのヘリがあちこち飛んでいた。水晶小屋を後にすると、小屋番さんが鐘を鳴らして見送りしてくれた。

稜線からは、雲ノ平の平坦地の中に、雲ノ平山荘がポツンと見える。先月泊まったのが懐かしい。

水晶岳からの好展望は3回目の正直で、鷲羽・祖父岳・黒部源流の沢や雲ノ平の全容を初めて目の当たりにすることができた。視界良好時にここに立つことができて、満足感と安堵感とひとつの宿題が解決したような何とも言えない気分である。

腹ごしらえをして先を急ぐ。いよいよ、初めてのルート「読売新道」の岩場・ガレ場を慎重に下る。西側の沢の下方に小屋が見えてきた。いつか行きたいと思っている「高天ヶ原山荘」だった。温泉沢の頭に到着。五郎の稜線にはガスがかかってきた。

しばらくは、視界の良い岩稜帯が続いたが、樹林帯に突入する。途中、ぐちゃぐちゃの道、滑りやすい苔むした岩の道、木の根の生い茂った道もあったが、そこそこ整備されていた。下りで時間を稼ぎ、奥黒部ヒュッテに到着。

今日は、新しい床板やクロス貼りのきれいな8畳ほどの部屋を貸切りであてがわれる。水の豊富な小屋なので、トイレは水洗できれいだし、風呂がありシャンプー・ボディーソープ付き。汗を流してから一杯いただく。

赤牛の下山中は、針ノ木谷~七倉乗越はやめ、平の渡しから船に乗ってダムから帰ろうと思っていた。

思案の結果、針ノ木谷を決行することにする。時間的にダム周りでも変わらないのと、小屋番さんの情報で、針ノ木ルートは道がしっかりしていて、渡渉も大したことなさそうなので14時間半の行程に臨むことにする。

8/24
4時40分、暗い中を出発。丸太階段を渡り始める前に明るくなる。丸太階段は予想以上に数多くあり、アップダウンが激しい。黒部川が黒部ダムに流れ込むあたりの右岸の断崖をヘツるように、いい塩梅に作られている。

渡し船が右岸を出港した音がした。いよいよ、針ノ木谷のスタート。新鮮な気分である。

間もなく、南沢との出合からロープが1本張ってある1回目の渡渉が始まった。心配したほどの水量ではなく、難なく通過。
その後、数か所渡渉があったが、片足半分水に突っ込んだ程度で、大したことはなく安心した。右岸を大きく巻きながら登る所も、その後の急下降はなく、緩やかな河川勾配のまま進むことができた。

左岸の尾根への取付になり、七倉への分岐にしては時間が早すぎると思ったが、急登が続いて次第に針ノ木岳や針ノ木峠が見えてきたので、乗越に向かっていることが確信できた。

乗越に着くと南側が大きく切れ落ちていて、南斜面が全体に崩落したような感じで、恐怖感を覚えるほどだった。登山道も尾根筋から北側の斜面に付け替えられており、気を付けながら通過する。

乗越からは楽になると思って油断していたが、登り一本調子で、意外と疲れた。
ようやく七倉岳との分岐に到着し、七倉ピストン。舟窪小屋に到着するが、残念ながらガスで展望はない。ガスがなければ、野口五郎や歩いてきた稜線がきれいに見えるはずで、少し残念であった。船窪小屋に寄って、皆さんと写真を撮ったりしてから最後の下りに入る。

かなりの急傾斜を下り五合目で休んでいると、日本全国の県ごとの最高峰を登りながら、下界は走って一筆書きをしているというトレランの若者が来た。荷物は小さいが、テントを装備。シュラフはなく、ダウンの上下で賄っているとのこと。驚きである。激励をして別れる。

これを登るのはきついなあと思いながら急坂を下る。七倉の先のトンネルに合流して、フィナーレとなった。
初めての道は、すごく新鮮で楽しかった。予定通りの行程を歩くことができ、天気にも恵まれ、素晴らしい周回コースだった。