2015/9/26-27 宝剣岳~空木岳~南駒ヶ岳

       メンバー : OS、+1


  念願の中央アルプス縦走

曇り模様の予報のなか4:20に出発。松本付近からは霧雨となる。7:45 菅の台駐車場のバスに飛び乗る。空は厚いガスに包まれているが、バス停のおじさんから千畳敷は青空との情報があり、俄然テンションが上がる。
ロープウェーから足元を見下ろすと、ガスの切れ間にきれいな紅葉が見える。もうこんなに紅葉が進んでいたとは驚きだ。

千畳敷に着くと、真っ青の空にくっきりとカールが浮かび、宝剣岳が威風堂々と聳えている。思わずシャッター三昧となるが、荷物が重くて喘ぎながら稜線に向う。

極楽平にザックをデポして、青空のもと軽快に宝剣をピストン。山頂からは、木曽駒の向こうに小さく槍ヶ岳が覗き、南アルプスは逆光シルエットがくっきりと間近に迫る。
下界は雲海に包まれ、隙間からは市街地も見える。素晴らしい展望に見とれるばかりだが、先が長いので後ろ髪を引かれる思いで下る。

いよいよ極楽平から空木までの初ルートに足を踏み入れる。初めての山、初めてのルートは心が躍る。その上、今日はガスの中での縦走を覚悟していたので、360度の展望の中、南アルプスと富士を眺めながらの雲上散歩は、喜びと満足感が倍増する思いであった。

名だたる南アルプスの名峰と肩を並べて歩くような気分になり、中央アルプスの持つ立地条件や展望の良さを改めて痛感した。そこに足元の高山植物の紅葉が加わり、シャッター音が鳴り止まなかった。

濁沢大峰を過ぎると、はるか前方に尖った岩のある山が見え、ピノキオの鼻みたいなので檜尾岳だと確信していたら熊沢岳だった。手前の檜尾岳から檜尾避難小屋を左手に見過ごし、いくつかのアップダウンを繰り返し東川岳のピークに立つ。
木曽殿越を挟んだ眼前には空木の鋭鋒が聳え、威厳を放つかのごとく黒光りしている。ちょうど西日が差してきて、一層輝きを増して美しかった。

木曽殿山荘は、八峰キレット小屋のように大きな鞍部にある小屋だった。相棒に、“木曽義仲の力水”を汲みに行ってもらい、その間にベンチでおっつきをしながら、心地よい疲労感と素晴らしかった展望の満足感に酔いしれた。

朝は、玄関脇の狭い自炊室でラーメンを食す。5:30小屋番さん夫婦に御礼を告げ、颯爽と小屋をあとにする。
空はどんよりと曇っている。回復を期待しながら、空木への急登をゆっくりと登る。徐々にガスに包まれる中、岩稜帯となり宝剣への縦走者とのすれ違が多くなる。昨日も奇岩が目を楽しませてくれたが、晴れていればこの岩峰群がさぞきれいなのだろう。

7時に空木山頂に到着。下山するには早すぎるので、南駒ヶ岳をピストンすることにして、荷物をデポする。
1時間ほどで南駒に到着すると、山頂標識前の砂地に「ヨーキ、ファイト!2015.9.17 AM6:00」と書いてあった。 「えっ!、今日ここに田中陽希が登ってくるの?」と驚いた。何時頃来るのかと思いながら、少し会いたい気もしたが岐路に向かう。
あとでネットで調べたら4時間近く後だったので、待たなくて良かった。

空木に戻ると日帰りの登山者が大勢いた。下山路を見下ろすと、紅葉と岩の白さとハイ松の緑できれいだった。宝剣岳方面がガスで見えなくて少し残念ではあったが、前日の展望の良さを思えばそんなに贅沢を言ってはいけない。

空木に別れを告げ下山を開始。きれいな景色にまたシャッター音が止まらない。振り返り振り返り、景色を頭に焼き付けるように堪能しながら下る。ただ残念なことに、いつもそうなのだが、徐々に記憶が薄れて感動も忘れがちとなってしまう。だからまた感動に会いたくて、山に行きたくなるのだろうか。

家族村の風呂で汗を流し、「明治屋」の名物「ソースかつ丼」を食して岐路へ。初日が天気予報に反していい天気だったので、最高の中央アルプス縦走の展望漫歩を楽しむことができた。お天道様に「ありがとう!」と、ただただ感謝である。