2015/10/10 川内山塊入門

      メンバー : TH、+1
      悪場峠 6:40・・・木六山の肩 8:40・・・七郎平山 10:05・・・引き返し地点 11:00・・・木六山 13:00(休憩)
      ・・・悪場峠 14:50



  憧れのヤブ憧れのヤマヒル 川内山塊入門

少しでも越後の山を知る者にとって、「川内山塊」は憧れの山である・・・と思う。
ほとんど登山道がなく、沢は峻険でゴルジュの発達が著しく、群れるヤマヒルが登山者を待ち受ける。
標高も低く、夏の涼風や可憐な花の揺れるお花畑にも縁が乏しい。このような川内山塊に憧れを抱かない岳人は居ないだろう。

長く憧れてきたが、近づく機会がなかった。と言うよりは、尻込みしていたのである。
高校生のときに粟ヶ岳や笠堀に行き、高校を終えてから日本平山に登ったが、これでは川内の「か」の字にも手がかかっていない。
「途中までは、登山道ができたらしい」とは聞いていたが、今回が初見参であった。

夕食前に帰宅する必要があったので、「行けるところまで行き、時間を見て引き返す」と決めて足を踏み入れる。
木六山までは道が良いと聞いていたが、時間の関係もあって悪場峠からの近道を選んだ。
何とか歩けはしたが、刈払いの無い部分も多く、沢沿いの滑る道に、ヤブコギ等の苦手な連れは閉口していた。

秋は、残雪期と並んで川内山のベストシーズンと思うのだが、この日は東京から来たという単独のオジサンに会ったのみである。

雲が多く、あまり遠目も利かず、土地勘もないので、なかなか山塊の概要が頭に入らない。
山体もずば抜けたものがなく、標高も似たり寄ったりであるし。その中で、対岸の奈羅無登山は、全山がスラブに囲まれた荒々しい姿で目を楽しませる。

稜線の反対側の山にもスラブが目立つ。豪雨の時などの増水が思われる。早出川などは、全くそのものズバリの名前なのだろうと想像する。
木六山からの稜線は意外に長い。淡々とした変わり映えのしない、林下のあるいは小藪の中の道が続く。

七郎平山には、天幕の数張りは可能な平地がある。山仕事の基地にしているのか、ブルーシートが畳んで置かれていた。
ここ以後も、同じような道が続く。もう少しがんばれば銀次郎山の一角、という辺りで無念の時間切れ・引き返しとなった。

目的の山頂も踏めず展望もない山行だったが、曲がりなりにも川内の山に足跡を残せたことに、かなり満足した。が、せめて銀太郎山の先くらいまでには、何とかして行ってみたいものと思っている。

なお、帰路で10匹ほどのサルの群れにあった。牙をむき出して威嚇し、向かってきて襲うようなそぶりも見せるので、ほとんど丸腰状態であったから緊張した。

少し疲れて車に戻ると、川内の山のフィナーレを飾る事象が待っていた。靴下を取ると、私と家内の脛の同じ部分に、それぞれ一匹のヤマヒルが吸い付いていたのである。
痛くはなかったが、その後の10日間くらいは、足の痒みを我慢しながら、川内の山の余韻に浸る充実した日を送ったのであった。