2016/3/27 高社山(こうしゃさん)(1952m)

      メンバー : OSe、+8

国道117号線を飯山市に向かって行くと、千曲川を越えた左前方に、端正な独立峰が目に入る。これが高社山である。
高社山は、北信地方の中野市と山ノ内町、木島平村の境界に跨っていて、志賀高原の入口に大きな裾野と秀麗な山容で存在感を示している。
地元では「たかやしろ」とか「高井富士」とも呼ばれていて、修験者の山として知られている。

登山コースは4本あり、今回は、そのうちの一つである谷厳寺(こくごんじ)の登山口から高社山山頂に至り、往復するものである。
今回の山行は、「山の会若ぶな」の山行で、メンバーは全部で9人であった。
メンバーに、74歳という高齢者がいるので、もしもヘリを呼ぶような事態になったらと思い、事前に管轄の中野警察署の地域課に、登山計画書をファクスしておいた。

集合場所の南魚沼市役所を5時に出て、谷厳寺の駐車場に7時少し前に着く。
木々の間に、白く雪が見える高社山の山頂部はガスが懸かっている。
曇りから晴れという天気予報は、当てにならないようだ。
今回の登山コースは、昨年の12月、雪降り前に登ったもので、下山は反対側の、よませスキー場に降りてタクシーを頼み、谷厳寺の駐車場に戻ってきた。
この時のスキー場の中の下山は、全く面白味の無いものだった。

準備を整えて、谷厳寺の入口南側の農道を、山側に約100m入ると、登山口の看板がある。そこを左に入り、墓地の中を進む。
千本あるという桜の木に囲まれた谷厳寺は、曹洞宗のお寺で、雲洞庵を彷彿させる大きさである。
4月の桜の頃は、花見で賑わうらしい。
寺の後の林の中に、5mほどの金色の不動明王などが8体あり、シュールな景観を作っている。

林の中の仏像
登山道を登って行くと、杉やアカマツなどの混合林の中に、地蔵菩薩、薬師如来、観音菩薩と次々に石仏が現れる。
標高900mあたりから雪が現れ始め、尾根に到達して、土用場と呼ばれる場所は、20~30cmの積雪となっている。
空は曇っていて風が冷たい。尾根道の所々に1mほどの吹溜りがあり、次第に雪が深くなる。

稜線には八幡神、岩室の中にある高社(たかもり)神社奥社、御嶽神社などがあり、信仰の山であると実感できる。
補助ロープが必要かと思っていた高社神社奥社の所の急斜面は、雪が少なく、ロープを出すまでも無かった。
高社神社奥社を通過し、御嶽神社へ登る斜面は、本日一番の急登で、25日に降った雪の下は、凍みついていて固く、スパイク長靴のスパイクが効かず歩きにくく、ピッケルも容易に刺さらない。

急斜面を膝くらいのラッセルで先頭を歩くと息があがる。
振返ると高齢者のメンバーも遅れて付いてくる。
夏道が分からなくなり、枝を分けて御嶽神社の裏手に出ると、高社山の山頂は眼の前となった。
前方に青空が広がり始めて、風が弱まってきた。一旦緩やかに下り、山頂への登りにかかると、腿が痙攣を起こし始めた。
騙し騙し歩き、ようやく360度視界が開けた山頂に到着。山頂の20cmくらい積もった雪に、よませスキー場からの足跡が多くついている。

一息ついていると、一人長靴を履いた男性が、スキー場から登ってきた。
高社山にはこれまで2000回登り、今日は30分で上がってきたと言う。我々が3時間かけて登ってきた谷厳寺からは1時間半で登ると言う。

山頂の社の前に腰を降ろし、周りの山脈を見渡しながらカンビールを開ける。
西に白く輝く白馬岳・鹿島槍ヶ岳等の北アルプス、南に浅間山、東に苗場山などが目に入る。
今朝、懸念していた天気が晴天となり、暖かい日差しの中で飲むビールは、大汗をかいた後では、また格別である。
コンロに火を点け、六日町の城内で買ってきた、まんまるメンチをジップロックに入れて、沸かしたお湯に浸けて温める。
メンチとメンバーからの摘み物を味わいながら、飲物はビールからホットウィスキーに変わる。

1時間ほど、心地良い時を過ごして下山にかかる。
気温の上昇で雪が重くなっている。大汗をかいた急登部では、足を取られて転倒しないよう慎重に下りる。
登山口には2時間で到着し、汗は、いいやま湯滝温泉(510円)で流した。

帰路、半年前に注文して先日ようやく届いた、猫つぐら(2万円)を販売している、栄村森宮野原駅交流館に寄る。
せっかく買った猫つぐらに、我家のネコは入ろうとしないので、何か方法はないかと尋ねたら、これをつぐらの中に入れれば良いとマタタビの枝をくれた。
帰ってから試したが、最初は喜んでつぐらの中で枝を咥えていたが、飽きるとつぐらには入らなくなった。
飼い主の心分からず・・・。

例年にない暖冬小雪で、雪山を登るのには物足りなかったが、山頂に着いてからの晴天と、北アルプスなどの白い山脈、山頂で過ごした時間は最高であった。