2021/6/1 佐梨川源流 家の串尾根から駒ヶ岳

メンバー:(L)NY、AN

コースタイム:駒の湯第2駐車場発5:00--桑ノ木沢出合5:40--山の神6:15--
採鉱道-- 取付きの水場7:00--金山台地偵察--家の串尾根への取付き7:35--
家の串尾根1140m付近8:20--郡界尾根9:30--駒の小屋11:20--
山頂ピストン--下山12:40--銀の道--駒の湯着17:40


林道に残る雪渓
桑ノ木沢出合
山の神
採鉱道の水場
家の串尾根への取付き
スラブ上の雪渓
家の串尾根から郡界尾根方向
10m大岩 鎖があります
大岩に注意書き
郡界尾根への途中 癒しの空間
郡界尾根からオツルミズ沢
登ってきた道
雪渓歩きの途中から振り返る
静かな駒ヶ岳です




【記:AN
満を持してこの日を迎えた。天気、雪渓の状態、この日までの経過、合わせて最高の1日となった。
駒の湯から桑ノ木沢出合まで2キロの林道には大きな雪渓がいくつか残っていた。
桑ノ木沢から山の神を目指すにはいくつかルートがあるが、今回は左岸を20mほど行ったところから尾根に取りつく。
藪を漕ぎながら右に行くと、急だがトラロープや刈り払いの跡もある。
いつもながら長年整備に入ってくれている方に感謝である。山の神から採鉱道に入る。
昔の道はよくこんな所に作ったねと驚くことが多いが生きるための道でありどこの山域や土地も
必ず歴史があるのだろう。

ここまで来たので金山台地を見に行く。相変わらず奥壁が覆いかぶさるように威圧感を放っている。
本流にはまだ雪渓が残る。今回取りつくポイントの水場から30mほど金山台地よりの場所に取りつき点があり
矢印のマーカーがある。ここから標高約300mで家の串尾根だ。ハーネス、ヘルメットを着け登りにかかる。
最初は右の灌木横を通りスラブのバンドを左へトラバースするように目印がついている。
下から見たときにルートのバンド上に怪しい雪渓があったが運よく一人ずつ下を通り抜けることができた。
よく見ながら行くと所々マーカーやピンクテープがある。なんとトラロープも。
赤岩スラブの下降路にも使われているらしい。新しいボルトも打ってあった。

大した藪漕ぎは無く人の手入れを感じながら家の串尾根1140m付近に飛び出す。そこからもよく刈られている。
しばらくまわりの景色にくぎ付けになり、あれは何山これは何山と話は尽きない。
しかし、ここから地図上等高線の最も込んでいる登りが待っている。
前回2011年にONさんに連れられて郡界尾根まで行ったときは、あまりの腕力勝負に五十肩になった。
今日そうなれば六十肩ではないか。期待にドキドキしながら急な登りの基部にある10m大岩に達する。
なんと、整備は進んでおりここからもピンクテープやトラロープがいくつかあった。
とはいっても急登なので木の根や細い枝を掴んでバランスで登っていくが、
刈り払いがされていて視界が効くので気が楽だ。

青空を遮るものが無くなり郡界尾根着。
細い尾根に立ち足下のオツルミズを見たとき何だか懐かしい友人に会ったような思いが込み上げてきた。
オツルミズには新しいブロック雪崩があり、これもタイミングの良さを感じた。
まだ斜面に雪の塊が多く残るので慎重に行く必要がある。チエーンスパイクを着け40m下りオツルミズに立つ。
素晴らしい。郡界尾根が手に取るようだ。吹き抜ける風もやさしく楽しく一緒に歩いてくれる。
フキギの下を通り駒の小屋まで長く感じたがずっと雪渓を歩くことができた。
誰もいない駒ヶ岳。山頂を往復し、NYさん持参のところてんとお神酒をごちそうになり、
疲れと天気の良さに昼寝でもしたいところだったが、これから下る銀の道は時間がかかる。
重い腰を上げ駒の小屋を後にした。

「家の串から駒に行かないか」NYさんの一言が忘れかけていたルートを思い出させてくれた。
ありがとうございました。

*みちぐさ会報Vol44 2011 no2に佐梨川源流調査が載っています。


【記:NY
STILL CRAZY AFTER ALL THESE YEARS

何年も焦がれていた。
何度も下見していた。
一泊して山の神からヤブを漕ぐ計画で一度は大湯に集合したが、天気が不安で中止。
今回ヤブ漕ぎを回避して水場からの日帰りコースに変更。家の串尾根完全踏破とは言えないが、
結果としては数倍面白いルートに大満足でした。

山行を終えて二人の地元の山屋に大きな敬意と感謝を表します。

一人は水無の番人、大先輩のONさん。地道に佐梨の地域研究を重ね、記録を残し、
後進に道を示してくれたおかげでこの山行を組み立てることができました。
膨大な記録の数々は「みちぐさの聖典」であり、ONさんは昔も今も尊敬おくあたわざる
「みちぐさの支柱」でございます。

もう一人は岳友会のOさん。はじめて金山台地を訪れたとき「オツルミズまで刈り払い」の文字を見て、
「本当なのか?」とずっと疑ってました。信じがたい神話や伝説のような思いでした。
実際に歩いてみて、ここに道を開いたOさんたちはきっと「神話に中のモーゼ」に違いないと確信しました。
たいへんお世話になりました。

この二人の偉人な魚沼の山男、わたしにとっては「神話の中の神々」のおかげで
長い間の憧れをまた一つたどることができました。

そしてANさん、一緒に行ってくれてありがとう。
あらためて駒ヶ岳は越後を代表する名山だと確信しましたよ。
ぼくらは次の世代にこの魚沼の宝を伝えることができるだろうか。
初老のぼくらに残された時間はそれほど長くはないようだね。