2021/10/10 10月会山行 湯檜曽川ケサ丸沢右俣

メンバー:NY/HS/KM/OS/FY

コースタイム:6:00白毛門駐車場~7:40武能沢~7:50湯檜曽川入渓~8:00白樺沢出合~
        8:45白樺沢ケサ丸沢両門ノ滝~9:10ケサ丸沢右俣左俣分岐~
        11:20旧国道(清水街道)到着~下山~13:00武能沢~14:30白毛門駐車場


7:50 湯檜曽川入渓
8:00 白樺沢出合
8:10 ひとまたぎ
8:15
8:25 奥に白樺沢40m大滝が見える
8:45 両門ノ滝 白樺沢ケサ丸沢出合
9:00 二段25m滝
9:35 Y字8m滝
9:40 8m滝
9:55 三段25m滝
10:05 多段30m滝
清水街道合流点
11:50 下山途中からのケサ丸沢
12:05 色ずく武能岳と白樺沢
12:08 武能岳と白樺沢





【記:NY     還りゆく 渓のゆりかご 会山行に寄せて
 ♪昔 恋しい 銀座の柳♪
新道で流れを見下ろしながら、西条八十の高名な歌詞の一節を、ふと口ずさんでみる。
唐突のようだが理由はある。ユビソヤナギだ。

この固有種が湯檜曽川のほかに東北各地に点在していることはよく知られているし、自分自身も
奥只見川流域でよく見かけているはずなのだが、土合橋の看板を読む以前は気にも留めなかった。

ヤナギ自体はどこの川にもある代表的な湖畔林のひとつであり、銀座に限らず日本中で見かける
街路樹でもある。
にもかかわらず、あえて自分の実意にこだわってしまうのは、そこが湯檜曽川だからだ。

しばらく前から湯檜曽川というと、自分にしか通用しないある詩情を通してしか感じることが
できなくなっていた。

渓のゆりかご
ここに連れてきてもらい、通いつめ、育ててもらい移ってゆく。そして次は仲間を連れて伝えてゆく。

山や渓を遊び場としている人なら、多くがそうしてきたはずだ。私もその中のひとりだと思っている。

一ノ倉も幽ノ沢も流れとしてみればこの川の支流のひとつであり、梓や黒部同様、この国の
山岳史の源流をなしているのだと思う。

出かけてゆくというより還ってゆく渓。

 ♪昔 恋しい 湯檜曽のヤナギ♪
秋色の風吹く帰り道、また口ずさんでみる。


【記:OS    スンバラシィー 癒しのナメ滝連爆に驚嘆
久々のNYさん担当の山行に、大きな期待と一抹の恐怖を感じながら参加させていただく。
かなり前の巻機山三嵓沢でのスラブ終盤、フェルト靴での草付きトラバースの恐怖が甦る。
5:55白毛門の駐車場で、CL(NY)さんからアプローチシューズは要らない、即、沢靴でいいと言われたが、
最初は言うことを聞かずトレッキングシューズを履いてみた。しかし、FYさんらも沢靴にしたので、
思い直して沢靴に履き替えた。すると、なるほど、アスファルト道路は歩かないし、泥濘の多いアプローチだったので
沢靴が最適であった。やはり、ベテランの言うことは、即、聞くべきだと反省。

途中、西黒沢・マチガ沢・一ノ倉沢・幽の沢・芝倉沢と名だたる沢を横断するたびに、
NYさんが丁寧に教えてくれる。名前のとおり優しい。7:30武能沢を渡ったすぐ先から藪に入り、
魚止の滝とゴルジュ帯の巻道を進むと、間もなく入渓となった。
すぐに湯檜曽川から離れて、白樺沢に入る。滝壺を備えた美滝が連続して現れる。滝は、全体にぬめっており、
今年はどこの沢もそんな傾向のようだ。よって、無理に直登はせず、多くは明瞭で灌木豊富な巻き道を越えていく。

二又から、右俣に入り8:43いよいよケサ丸沢に突入。NYさんが、次々に歩きやすいルート取りで進んでくれる。
KMさんも、大ナゼノ沢ほどの難所はないので、十分楽しめているようだ。自分にも、このぐらいの中小の滝で、
巻きが登りやすい沢は丁度良く、難易度的にもいい感じ。ただ、楽ばかり望んでいると上達はのぞめないのだろうが。

そして、本日のメインイベント、ナメ滝の連爆帯に突入だ。こんな、ナメ滝連爆は、もちろん初めて。
ナメと聞いただけで親しみと、何故か郷愁を感じる。灌木沿いをへつったりしながら、越えていく。
流心を登れれば気持ち良いのだろうが、いかんせん滑りそう。極楽の境地も長くは続かず、間もなく水が切れて、
11:22清水街道の旧道に合流。 そこには、なんとロード自転車を抱えた、サイクリスト?がいるではないか。
清水峠経由で清水に降りるらしい。こんな険しい山道に自転車を持ってくるとは、只者ではない。

我々は、遡行が無事終わったので、ひとまずの握手を交わす。NYさんと沢を登ったのはいつ以来であったろうか。
聞いたら、即座に東ゼンと帰ってきた。恐るべき記憶力。
今回は、全体的に安全な登りやすい沢で、きれいな滝が沢山あり、会山行にはもってこいの沢であった。
出発前の一抹の不安は、いつの間にか払拭されていた。

帰りは、水平道から武能沢の左岸を下る。全体に整備されており、江戸時代の参勤交代にも使われた道だそうで、
所々、馬車も通れるような幅の広い所もあった。12:55武能沢合流点でひと息つく。長いアプローチ道を戻りながら
新人のKMさんを話のつまみにしながらワイワイと下る。何と、彼女は、今日が今年7回目の沢と言う。
会員の皆さんからたて続けにお誘いを受ける人気者ぶり。自分は、年3回が最高なのに、羨ましい限りだ。
14:30何はともあれ、NYさん・HSさん・FYさんという、みちぐさの若手最強トリオに
お供させていただくことが出来、心強い限りでした。皆さんありがとうございました。



【記:KM
私に合わせて易しい沢にして頂きありがとうございました。それでも未熟な私は滑りまくり。
NYさんに歩き方を教えて頂き引っ張って貰いながら、皆様に押したり、上げて貰いながら
皆様の優しさに支えられ贅沢な沢登りでした。
練習しなきゃ。
綺麗な景色。
皆様ありがとうございました。


【記:HS
今年の秋は比較的暖かい日が多いと感じている。少しずつ秋の色を深めて行く沢を
楽しむ目的と湯檜曽川の遡行は未経験であるため会山行に参加した。
湯檜曽川へそそぐ支流の数々に大変興味はあったもののアプローチの長さから今まで避けてきていた。

湯檜曽川沿いの歩きは無雪期初なので次々と通り過ぎる景色や過去の名残を残す石積、建築物等を見るたびに
開拓や繁栄した時代を想像しながらNYさんの話に耳を傾けて歩いた。見るもの全てが新鮮だった。

出発前に会の重鎮MTさんから今回の会山行に寄せてこんな言葉をいただいていた。
「役者の経験は有りませんが、パーティー登山は芝居に似ています、役者がそれぞれの役を演じるような・・・」
私は参加者の一人ひとりを最後方から動画で撮りながらMTさんの言葉をあてはめて山行を楽しむ事ができた。

今回のリーダーNYさんはいつの時代の人なのだろうと思うほど山の経験や知識が多い。
加えて温和な表情と細かい気配りは本当に尊敬できる凄い役者だ。
KMさんは沢経験こそ浅いが根性のある役者だ。徐々に力をつけて来ているのが見えるから今後の活躍が楽しみだ。
そして山行を楽しい時間にしてくれるOSさん、本人は何気なく話している様だがその発言が皆を楽しませてくれる
ムードメーカー。そして何と言っても体力は半端ない、会の中でも一番だと思う。
最後にFYさんはこつこつと努力を積み重ねじわじわと高みに登って行く役者だ。自分を謙遜しているが
縁の下の力持ちと思う。
私は今回役者としてではなくカメラマンで参加したつもり。
良い動画も撮れたので、沢のオフシーズンはこれを見ながら楽しみたい。
素晴らしい役者揃いの綺麗な秋の沢でした。皆さんありがとう!